PLAY!施設情報
〒190-0014
東京都立川市緑町3-1 GREEN SPRINGS W3 2F
Tel:MUSEUM 042-518-9625
PARK 042-518-9627
MUSEUM | 平日:10:00-17:00(入場は16:30まで) |
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PARK | 平日10:00-17:00(入場は16:00まで) |
SHOP | 平日:10:00-17:30 *MUSEUM利用者のみ入場可 |
CAFE | 平日:10:00-18:00(L.O 17:30) |
たちかわ散歩
可愛いけれど考えさせられる、そんな絵本展
「どうぶつかいぎ展」メインビジュアル
エーリヒ・ケストナー作の絵本で、戦争を止めようとしない愚かな人間を痛烈に批判する物語です。
ヴァルター・トリアーの描く可愛らしい動物たちが主人公のユーモラスな絵本を通して、人間にとって最も大切な価値を子どもたちに伝えようと試みたそうです。
『動物会議』/エーリヒ・ケストナー著、ヴァルター・トリアー絵/池田香代子訳/岩波書店刊
「ケストナーとトリアー」ヨシタケシンスケ/2021年
昨年6月にオープンしたPLAY! MUSEUM。今回6回目の企画展となります。
今回はPLAY! プロデューサーの草刈氏に加え、8人の参加アーティストのうち梅津恭子氏(ぬいぐるみ作家)、秦直也氏(イラストレーター)、菱川勢一氏(映像作家)、植田楽氏(造形作家)、junaida氏(画家)、ヨシタケシンスケ氏(絵本作家)、そして展示デザイン担当の手塚氏が内覧会で登壇しました。
8人のアーティストたちは、ケストナーの物語を8つの場面に分けてそれぞれに再解釈を加え、展示を展開しています。
左から草刈氏、梅津氏、秦氏、植田氏、junaida氏、ヨシタケシンスケ氏、菱川氏、手塚氏
展覧会の中に入り、まず目に飛び込んできたメッセージに私は少々胸が苦しくなりました。
何となく、「いま」を見ているような、そんな気がしたのかもしれません。
この第1幕はぬいぐるみ作家の梅津恭子氏によって作られた3匹の動物たちが登場します。
人感センサーの明かりを取り入れ、焚火を囲んで悪だくみしているようなそんな感じを演出したそうです。
第1幕ということで、難しいところからではなく、馴染みやすい表現から入ろうと努めたそうです。
普段は30cm程度のテディベアを作っている梅津氏。大きなぬいぐるみを作るのは大変だったけれど楽しかった、と語りました。
「まったく、人間どもったら!」
「焚火を囲む動物たち」
第2幕を担当したのはイラストレーターの秦直也氏。今まで平面の展示しか経験がなく、SNSにその日思いついたアイデアを1日1枚アップしているそうですが、今回は丸い壁に流れを作りイラストを110点展示しました。
そのうち30点程度は既存のイラストだそうですが、そのほかは展覧会のための描き下ろしだそうです。
一つ一つのイラストに必ずメッセージがあり、1枚1枚見ているとクタクタになっちゃうんです、と草刈氏。
原作はイラストに連続性があるけれど、前後のシーンを想像するような絵を描いているそうです。
秦氏のイラストは個の動物の特性を活かしたイラストで、例えばうさぎの耳は長くて耳はいいけれども、本当は煩わしく感じているのではないか?など想像しながら動物目線でもあり、秦氏の目線でもあり、見た人に想像して欲しいと思い描いたそうです。ぜひ自身の目で1枚1枚のイラストからメッセージをくみ取って欲しいと思います。
展示について説明する秦氏
このイラストのメッセージとは・・・?
内覧会には欠席されていましたが、第3幕はアニメーション作家の村田朋泰氏が担当。
アニメーション2つと動くもの1つで構成された展示になります。
一際目を引くのが青い動くものに白い何か・・・これは海だそうで、氷河の上にエスキモーの子どもと動物たちが乗っています。
アニメーションで汽車に乗り手を振る動物たちが描かれており、それをVRゴーグルで見ると、まるで望遠鏡で動物たちを見ているような感覚になります。
村田氏の描く第3幕
VRゴーグルを覗くと・・・
海の先に見えるのはたかーいビル。これは造形作家の植田楽氏の作品です。
動物ビルに集まる86匹を再現。何とこちらの動物たちは全て紙とセロファンテープで作られているそう!
色を描き足しながらセロファンテープを重ねることで完成した動物たちです。
絶滅危惧種や既に絶滅してしまった動物をなるべく選んで作っているそうです。
動物ビルについて話す草刈氏と植田氏
ビル内の動物たち
そして第5幕は完全な異空間にやってきた気分でした。
暗い中に大きな丸いモフモフ・・・しかも動いている!こちらは映像作家の菱川勢一氏の作品です。
このモフモフたちは“ケモノ”であり何やら動物のような生き物たちだそう。
“来る人たちに「かわいい」「この子なんかヤンチャだな」などと感じて欲しい。敢えて何とは言及せずにライオン「のような」、クマ「のような」”・・・昨今の多様性を感じさせる展示です。
良いようにも悪いようにもとれる、会議ってそういうものでしょ?と菱川氏。
音も聞くことが出来る展示ですが、それぞれ意見が違って簡単にはまとまらない中で、数分に1回同調することがあるそう!「そうだ!そうだ!」と。動きと音で楽しめ、大きな音がするとブルブルっと反応するそうです。
“ケモノ”たち
空飛ぶ“ケモノ”
現代美術家の鴻池朋子氏による第6幕の展示は、菱川氏の展示から流れてくることで、音を聴きながら展示を見ることが出来ます。
内覧会には欠席されていましたが、レイアウトに丸2日をかけ、「共存する」という言葉を何度も発していたそうです。菱川氏の展示との「共存」も意味しているようでした。
鴻池氏が大事にしている画材の一つ、牛の皮に描いた7点の動物と壁一面に映し出される影絵は何とも幻想的。
動物たちと人間との距離に想いを巡らせ、中央テーブルには絵本の中でどのように動物たちが描かれてきたかの論稿が広げられています。
牛の皮に描かれた動物
影絵
次は画家のjunaida氏による大きな5枚のポスターが現れます。
原画1点を拡大し、色を変え、ポスターとして展示しています。
どうしてポスターなのかの問いに、大人たちに向けて提示した5つの条件が読んでいて生々しかった。ケストナーの声を代弁しなければと思った、とjunaida氏。
NO BORDER/NO WAR/FOR PEACE/FOR US/FOR FUTURE
この5つをポスターで表現していますが、描かれている子どもが目隠しをされています。
これは、この時、子どもたちは何を考えていたんだろう?鑑賞者たちがこの絵を見たときどんなまなざしで見ていたのかを思い浮かべて欲しい、とjunaida氏。
今まさに考えること、考えるべきこと、それがこの5枚のポスターを通して伝わってくる、そんな気がしました。
5枚のポスターについて話すjunaida氏と草刈氏
最後に絵本作家のヨシタケシンスケ氏によるエピローグです。
「ヨシタケシンスケが勝手に考えたどうぶつかいぎの最終日」はヨシタケ氏の可愛らしいイラストで、まとめられていました。
人間は人間の問題を解決できない、という話、それを絵本として子どもたちに向けて書かれたのが「動物会議」であり、ケストナーが作家のプライドを持って、動物たちが子どもたちを人質にとって人間が一つになるということを伝えている中で、絵が生々しさをはぐらかしている、とヨシタケ氏。
続けて、身も蓋もないこと、出来ないことを出来なく描くことの大切さ、話し合いは何も生まない、言葉は無力。話し合いは決裂しました、からスタートするその先のエンターテイメントに勇気づけられたという言葉で〆ました。
「ヨシタケシンスケが勝手に考えたどうぶつかいぎの最終日」
「ケストナーとトリアー」
ー「動物会議」ができたあとー
今回は9割が展覧会オリジナルグッズだそう。
ポストカードやワッペン、アパレルなどたくさんのグッズが展覧会を盛り上げます。
また、CAFEでもオリジナルメニューが複数登場しています。
上階のPLAY! PARKでは誰でも参加可能な”遊ぶための会議”を開くそうです。
PLAY! MUSEUMの余韻に浸りながらSHOP、CAFE、PARKにも足を運んでみては☆
オリジナルグッズの数々
CAFEオリジナルメニュー
今回はリレー形式ということで8名の多彩なアーティストの皆さんが一つの絵本を様々な形の展示で表現するという新しいタイプの展覧会でした。
恥ずかしながら『動物会議』はこの日まで知らなかったのですが、この展示を見るだけで、本当に色々なことを考えさせられました。
もうここまで展示を見る中で、可愛い!と思ったり、胸が苦しくなったり、共感したり、色々な想いが溢れかえり、結構クタクタになりました。しかし、本当に見ごたえのある展覧会です。
子どもから大人まで一緒に楽しめる展覧会です。ぜひ家族で展示を見ながら語り合ってみてはいかがでしょうか。
〒190-0014
東京都立川市緑町3-1 GREEN SPRINGS W3 2F
Tel:MUSEUM 042-518-9625
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MUSEUM | 平日:10:00-17:00(入場は16:30まで) |
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