たちかわ散歩
装い新たに2つの展覧会がスタート
常に話題の場所となっているPLAY! MUSEUM。
3か月間のアーノルド・ローベル展と通年に渡り開催されていたエリック・カール展が終了し、新たに2つの展覧会がスタートしました。
「みみをすますように 酒井駒子」展と「ぐりとぐら しあわせの本」展です。
今回はこちらの内覧会の様子をレポートします♪
左から草刈大介さん・2m26(セバスチャン・ルノーさん/メラニー・エレスバクさん)・青木貴之さん
企画展示・年間展示共に展示が入れ替わるというPLAY! MUSEUM2年目、節目の展覧会となります。
「絵とことば」というミュージアムテーマは変わらず、子どもから大人まで楽しむことが出来る展覧会となっています。
企画展として開催されている「酒井駒子展」は絵をじっくり見てもらいたい、そこにテキストが響く、というコンセプトのもとに200点以上の展示が実現しています。
それとは対照的に、原画展示が一切ないのが「ぐりとぐら展」です。子どもから大人まで楽しめる空間を作る時の原画の必要性について考えた、と空間デザインを担当した青木さん。
空間の中で絵本を読む体験と違う体験をして欲しいという想いの展覧会となっています。
「酒井駒子展」
「ぐりとぐら展」
『よるくま』や『金曜日の砂糖ちゃん』などで知られる絵本作家・酒井駒子さん初となる本格的個展です。
刊行された20冊以上の絵を中心に選ばれた約250点の原画を見ることが出来ます。
今回の展示は作家に関する解説やプロフィール紹介はありません。
多種類のフレーム、ケースなどを使ったストーリーに沿った展示をしています。
この展覧会の空間デザインをしたのは京都を拠点として活動するフランス人建築家ユニット【2m26】のお二人。
空間を作り上げるにあたりこだわった点などをお話してくれました。
お二人は初めて酒井さんの本を受け取ったときに、様々な種類がありテーマに対してデリケートに、そして強く作品を作っていることに驚いたそうです。そこから、作品との距離を縮めることが必要と思ったそう。
そこで考えたのが「フレーム」の在り方だそうで、原画展示には不可欠なフレームではあるけれど、空間の中に作品を埋め込んだり、小さな世界に作品を入れたりすることで作品を直感的に感じてもらえるようにしたとのこと。また、表現が人間的だからこそ糊などの工業的な材料は極力使わずにスギ材をビスで留めることでナチュラルにしたそうで、展示のこだわりが各所で感じられました。
様々な展示ケース
空間デザインについてお話してくださいました
展示の中には原画だけではなく、酒井さんが作品を制作している山のアトリエの音や景色などの映像、オブジェなどもアクセントとして飾られています。森の中を歩いているような空間の「こみち」エリアでは散歩している感覚になれるよう、展示ケースの高さが様々。「よるくま」の展示は一番暗い空間に。あたかも家の中に居るようで、でも実際にここまで暗い家はない、夢の中に出てくるような空間を演出しています。座って、気持ちを落ち着かせて、この世界感にどっぷりと浸ってもらいたい、という想いがこの展示に込められています。
森をイメージした「こみち」エリア
「よるくま」の展示
誰もが知っている「ぐりとぐら」の物語。以前別の場所で原画展も開催されていましたが、今回は一切原画展示のない展覧会となっています。
空間をデザインした青木さんが何度もおっしゃっていた言葉、「大人は子どもにどんなことが出来る?」という意味が展覧会に行けば分かる気がしました。
「歩いていたら卵が落ちていた。誰のだろう?とはならず、ラッキー!カステラにしよう!」となるのがぐりとぐら。しあわせの方向に突き進むぐりとぐらはスゴイ!と青木さん。
その世界観を表現したのが今回の展覧会です。
展示の中にほとんどぐりとぐらは登場しません。それは見にきた人たちがぐりとぐらになって欲しいから。
自らが主人公になって「ぐりとぐらならどうする?」を体感できる体感型展覧会となっています。
大きな卵が落ちている!!
子ども目線で展示を楽しむ
中に入ると、大人の背の高さではほとんど全貌が見渡せる今回の展覧会。あえて壁の高さを低くしているそう。
見る高さによって景色がガラリと変わる、その楽しさをを感じて欲しい。
大人が子ども目線に、子どもは大人目線に、色々な角度、高さによって見えるもので親子で楽しめます。
触れたり、靴を脱いでみたり、滑り台を滑ってみたり。誰もが一度は触れたことある作品だからこそみんなに幸せを感じて欲しいのです。
体験する中で1つだけ・・・中にある滑り台は意外とスリリング!大人は要注意です(・∀・)
低い壁全体を使ったワクワクする展示
滑り台。意外とよく滑ります!!
PLAY! MUSEUMのお楽しみのひとつ、「おみやげ」が今回も用意されています。
それに加えて、ぐりとぐらは通年展示ということでGREEN SPRINGS街区全体でのイベントも開催予定だそうです。
酒井駒子展に因んだお土産となります。ランダムで渡される紙製のファイルに、4つの物語の絵を見ながらその断片を入れて持ち帰る「ことばひろい」。文章の一部が書かれた紙を会場内で見つけてファイルに入れて完成させるお土産です。
会場を出たあとも、「絵とことば」の余韻がつづきます。
春夏秋冬と作品がある「ぐりとぐら」。展覧会も年間展示となるので作品の世界観を生かして、GREEN SPRINGS内で四季のイベントを開催したり、PLAY! PARKでも子どもたちのアイデアでどんどん変化していく様々なワークショップが用意されています。普段は販売されていないグッズも豊富に展開し、PLAY! CAFEでは絵本に登場するあのカステラも食べられます!(数量限定)
お土産の「ことばひろい」
絵本に登場するあのカステラが!
GREEN SPRINGS内で開催予定の「ぐりとぐら」のイベント
PLAY! PARKでは様々なワークショップが開催されています
今回は企画展示・年間展示共に一新したということで、2つの全く異なる印象の展覧会を巡らせていただきました。
「酒井駒子展」は大人の雰囲気を感じながらも、絵本の世界を原画の配置から身体で感じることが出来る展示でした。
「ぐりとぐら展」は子どもの頃大好きだったぐりとぐらの世界に自分も入れた!そんな喜び、ワクワク、楽しさ、様々な感情で自然と笑みがこぼれました。
家族と、友人と、一人で・・・どんな形であれ展覧会を巡った後、心がほっこり温かくなるそんな展覧会でした。
※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。