ツヤツヤのブロンド、子供のようなシャイな眼差し、左右にキュッと上がった口元。
これが心のどこかに虚しさを感じていた男の顔か？
まあ、そんな横槍はともかくね。
だってハリウッドだもんね。リチャード・ギアだもんね。

ご存知この映画は、周防監督、役所広司主演の日本オリジナル版「Ｓhall we ダンス？」をアメリカでリメイクしたもの。

リチャード・ギア扮するジョンは、高級デパートに勤めるキャリアウーマンの妻と２人の子供を持つ弁護士。順調なキャリア、安定した収入、幸せな生活を送っているジョンだが、心の中で何か空しさを感じていた。

ある日、電車の中からダンス教室の窓辺に佇む憂いを帯びた女性ポリーナ（ジェニファー・ロペス）が気になり、教室へ足を向ける。そこでジョンは、日常では味わえないダンスの楽しさにハマリ始める。事務所にも内緒で通う夫を「浮気？」と妻が疑うほどに。

ある日ジョンは、先生からボビーという女性とダンスコンテストに出ないかと誘われる。それからというものジョンの猛特訓が始まるのである。

実際リチャード・ギアは、このダンスのためになんと６ヶ月間、毎日８時間、のべ１５００時間ものレッスンをしたそう。

コ
ンテストの前日、緊張でがちがちのジョンはポリーナに、ダンスはハートで踊らなくてはいけないことを教わる。体操選手みたいな引き締まった体のロペスと踊
るタンゴは、そこいらのおじさんとは当然違う！ウネウネ頭と口元が小泉首相に似てると言われているけど、全然違う！この輝きはまさしくスターなのだ！この
人は。

そしてクライマックス、家族やポリーナが見守るコンテスト会場で、緊張と不安の中ステップを踏み始める・・・。

こ
の映画のベースに、アメリカンドリームを手にした者が「自分は不幸だ」と言う資格がないというアメリカ社会の考え方があるそう。日本では、その辺のニュア
ンスはわからないからか、イマイチ主人公ジョンの悩みや葛藤がピンと来ない。けれど、この映画の魅力は、ダンスの楽しさとジョンを演じる、知的でシャイで
少年の面影が残るこの人、リチャード・ギア自身なのだ。
中年のおじさんに健康的な魅力なんて不釣合いかもしれないけれど、彼はそんなハードルも難なく越えている。

どんな世代の人にもおすすめの素敵な娯楽映画なのです。

text by...  OKIYO

2005/04/23