あなたは化粧をするとき、どんな気持ちで鏡を見ますか？
あわただしい毎朝のメイクやブロウでも、仕上げたときに鏡に写る自分はその日一日の中でもっとも美しく見えるはず。
そして思い通りに出来たとき、その日一日がパーフェクトでいられるような気がします。

まだ化粧が一般的でなく、上流階級の人や客商売の人などごく一部の女性のものだった大正時代。
化粧師（けわいし）の小三馬（こさんば）は、女性達の人生のターニングポイントで化粧を通して前進する勇気を与えてくれるメイクアップアーティストです。

身寄りの無い少女、子育てと貧困に疲れた母親、強がって周囲を寄せ付けない女優の卵らが、小三馬の化粧（けわい）を通して新たな自分を見つけ新しい人生の第一歩を踏み出していきます。

小三馬役の椎名桔平の、セリフの少ない抑えた演技にウットリする女性は多いかも。
「私も化粧して欲しい、そして今と違う自分に出逢いたい」と思いながら見入ってしまう化粧シーン。
とくに、小三馬への想いを泣く泣く断ち切った少女が、見合い写真のために小三馬に化粧してもらうシーンの妖しさ美しさに、ハッと息をのむ思いです。
またラストには、あとから何度も見直したくなるような小三馬の秘密が明かされます。

菅野美穂、池脇千鶴、柴咲コウ、岸本加代子たちの美しく化粧されるシーンで、女性にとっての化粧の大切さや自分自身の外見や内面をふりかえるきっかけになればいいと思います。


text by...  ris

2002/03/04