なんとかゼロは免れた…
昨日はそんな一日だった。

やれやれと一息ついて勝手口を出て煙を燻らせる。

ふと表通りに目を向けると小さな鳥が一羽こっちに近付いて来る。
ん？スズメか？と思ったがちょんちょんと跳ねるスズメの歩き方じゃない。
ペタペタと歩きながら至近距離まで寄って来たんだけど…
よく見ると水かきがある。

えっ？カルガモ？ヒナ？一羽だけ？なんで？ここに？？？？？
瞬時に頭の中が？？？だらけになる。
親ガモを先頭に子ガモが一列に…
そんなテレビで観るような光景じゃなくて子ガモが一羽だけ。

思えば以前にも…
お客さんが少ない時に限って思いがけない珍客が現れる。

あぁ、たぶん親からはぐれたんだろうな…
だけど車も通るし、店の周りは猫もウジャウジャいる。
このまま捨て置くわけにはいかぬ。

そんなわけで後片付けの最中だった翔斗を呼んで真夜中の大捕物。
植え込みの繁みの奥に逃げ込んだのは目視で確認したが暗くて見えない。
まだ赤ん坊だから乱暴に扱えない。
たまたま自転車で通りかかった近所の親子にも協力してもらって…
スマホ2台の灯りを頼りに繁みの奥に手を目一杯伸ばす。
無理に身体をを捻った態勢で腰がピシッと鳴ってイテテテ…
腕は藪蚊に刺されて膨れ上がる。
そんなこんなの四苦八苦の末ようやく確保！

だがしかし…
これからどうすりゃいいんだ？
とりあえず段ボール箱に放って翔斗と顔を見合わせる。

いつもこれだ。
可哀想にと思って咄嗟に保護するんだけど、その後の事を考えない。
だいたいこういう時はいつも夜中だから行政も動いてない。

とりあえず出来得る事…
ネットで調べて新聞紙を敷いてキャベツの千切りと水を置く。
SNSで発信して協力を呼び掛ける。

以上を施して後ろ髪を引かれつつ店を後にする。

ヒマだったから早く帰れると思ったんだけど…
結局帰宅はいつもと変わらず。

明けて…

買い出し途中に昭和記念公園に電話を入れるものの…
こちらでは引き取り出来ません。警察に連絡して下さい。
と、つれない返事。

あぁまたか…
どうせ警察に連絡すれば市役所に連絡しろと言われ…
市役所に連絡すればこちらでは…って言われるに決まってる。

もうこうなったら飛べるようになるまで面倒見るか…
そう決意して荷物を下ろしに店へと到着。
恐る恐る段ボールを覗きこむ。
あっ、マズイ！衰弱してる！

荷物を下ろしたら段ボールを積んで動物病院に直行。

まだ体温が残ったまま呼吸停止。

ごめん、助けられなかった。

手は尽くしたつもりだけど…
今思えば、夜中でも多摩川辺りに放してやればよかった。

腰は痛いし、眠いし…
おまけに昨日用意した今日のお通しが合鴨の燻製というバツの悪さ。
無念だけが残ってなかなか仕事が捗らない。

SNSで拡散して頂いた方、御助言を下さった方…
お騒がせしました。
遅い時間だったのに本当にごめんなさい。m(__)m

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